後藤家初代祐乗は、日本彫物の元祖と仰がれ、古今独歩の鏨師と賞賛されている。将軍足利義政に仕え、東山文化の一翼を担い、祐乗の作品も東山御物として数多く取り上げられている。後世に名を残した名工は挙って祐乗に範をとっている。生没年に関しては永享十二年に生まれ、永正九年に七十三歳で歿した説が有力である。
 この小柄に据えられた金紋は、祐乗の特徴が具備されており、雄渾で覇気が漲っている。下地には十三代光孝が仕立てたものと思われ、重厚で格調が高い。祐乗の特徴を備えた作品は極めて少なく、貴重な名品である。