河野春明は天明七年に江戸で生まれ、享和二年十四歳の時に柳川直春に入門し、文政の初め頃に法橋に任じ、次いで法眼に叙せられた。春明は旅を好み主として東北地方に遊び、修行と共に地方の豪農や富豪の注文にこたえて製作もしたという。
 本作は、素銅石目地に富嶽や川などが配され、春明ならではの情緒が満ち溢れる作品に仕上がっており、春明の技量の高さが伺える優品である。


『刀装具の鑑賞U』七十八頁所載